アンドロイド版kobo感想

 先日、楽天koboのアンドロイドアプリが公開されましたので、さっそく試してみました。使用環境はAndroid4.2.1のNexus7で、他の環境ではまた印象は違ってくるかもしれません。

 まず嬉しいことに、kobo touchと違い、このアプリでは自作ファイル名に「.kepub」をつけなくても、EPUB3がまっとうに読まれますね。それに読書位置も、センテンスごとにkobo独自の番号を振ってなくても、ちゃんと残ります。栞も大丈夫そうです。つまり、ようやくオープンなEPUBリーディングシステムになったということで、これをぜひ専用端末の方にも拡大して頂きたいと思います。

 ただし、ちょっと触っただけで問題点が幾つか。まず、残念なことに反応が悪過ぎます。ページ送りなどもワンテンポ遅れる感じだし、連続してタップすると完全についてこれなくなります。特にファイルをまたぐページ送りは待たされる印象です。それに関連するのか、←→での移動はファイル単位で、全ページ通してのジャンプができないのが不便です。また、自作本では扉ページの後に空白ページが挟まったりします。扉は「ハリー・ボッター」を猿真似して画像埋め込みsvgにしていますので、そのせいかもしれません。さらに、全体にCSSの文字のサイズ指定が効いてない感じで、「羇旅漫録」では本文も割り注も同じサイズになっています。上付き・下付きで付けた注番号や漢詩の訓点なども大きいままです。

 うーむ、これではちょっと製品レベルに達していないと感じる人も多いのでは? 文字組みはkobo touch同様よく整っていて、たぶん国産端末では最高の読みやすさなのですが、ソフトがそれについてきてないのが実に残念、宝の持ち腐れというほかありません。

 面白いのはストア本以外の書籍ファイルの読み込み方で、他のアプリではファイルをダウンロードして「このファイルを開く」でアプリを選択したり、エクスポートでアプリのフォルダにコピーしたりするのが、koboではアプリ側に「コンテンツをインポート」というメニューがあって、それを選択すると、何とデバイスのメモリーカード内を検索して、インポート可能なEPUBファイルをすべて候補として列挙してきます。EPUBはぜんぶkoboが引き受けたというような力わざで、その意気やよしといいたい所ですが、肝心のアプリがこの出来では…。

 他の国産端末が古くて低機能でクローズドな既存フォーマットを引きずっている中、またアマゾンが独自フォーマットを押し立てて進撃して来る中、オープンなEPUB3を唯一のフォーマットとする楽天koboには頑張ってもらいたいし、「.kepub」によって残念ながら半オープンだったkobo touchに比べて、たぶんフルオープンに進化したアンドロイドkoboは大歓迎なのですが、現状では自作本のリファレンスリーダーにするのは難しい感じ。今後の改良と専用端末への拡大をぜひお願いしたい所です。

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